鼻プロテーゼ・鼻尖縮小・耳介軟骨移植

東京皮膚科・形成外科　鍼灸師　奥富行

鼻プロテーゼ・鼻尖縮小・耳介軟骨移植

2020 . 6 . 1

２０代女性、鼻先をつんとしたい、鼻筋を高くしたいと希望されたモニターさんです。

正面から見ると鼻尖幅がやや広い、大鼻翼軟骨(鼻先の軟骨)が外側方向に開き鼻尖部先端の凹み(Bifid nose)を認める。鼻尖部の皮膚に厚みがありTDP(鼻尖定義点)不明瞭、鼻先に丸みを認める。鼻根部から鼻背にかけての横幅(鼻骨幅)、鼻長は均衡が保たれており、ACR(鼻柱・鼻翼関係)も問題ありません。

治療方針ですが

・鼻先をシャープにするには

上図のように鼻柱を切開してオープン法でアプローチします。

①大鼻翼軟骨(鼻先の軟骨)を周囲組織と分離(scroll ligament、nasal hinge complexの分離、膜性鼻中隔の部分分離)後、大鼻翼軟骨の頭側を部分切除(cephalic trimming)し内側脚、ドーム間、中間脚縫合し鼻先の土台を再建。

②大鼻翼軟骨間に存在している皮下脂肪を移動させ鼻尖部のボリュームを減量。

➂皮膚自体の分厚さを薄くし過ぎると血流障害のリスクが高まるため皮膚の厚みは変えません。その変わりに鼻先にほど良いサイズの軟骨を移植して高さを出すことで皮膚の分厚さを緩和します。アルマジログラフトと言って軟骨膜付きで軟骨間に割れ目を入れて鼻先にフィットしやすいように細工します。軟骨をそのままの形で鼻先に移植すると経年変化で、皮膚側に軟骨の輪郭が浮き上がるリスクがありますが、この方法だとその心配はありません。今回は２枚の軟骨を使用しました。また鼻柱内側脚には耳介軟骨の一部を挟み込み強固な土台を再建しています。土台がしっかりしていると鼻先に移植された耳介軟骨は下床の軟骨を押しつぶす事無く、移植した軟骨分の高さが皮膚側に反映されるため鼻先に高さを出すのに効果的です。

・鼻筋を高くするには

ヒアルロン酸、G－mesh、プロテーゼ、ゴアテックス等が選択枝として挙げられます。モニター様の希望で半永久的でしっかりした変化をつけたいとの事で、今回はシリコンプロテーゼを選択しました。

以下の画像は手術直後の画像となります。ダウンタイム真最中です。

カウンセリングの際に「手術直後はどれくらい腫れますか？」とよく質問を受けるので今回は、ダウンタイム真最中の経過を報告したいと思います。参考にしていただけたら幸いです。

鼻根部あたりに白い綿のようなものが着いています。これはプロテーゼの上端を固定している糸と綿です。眉間の傾斜角が鈍な方なのでリ二オン(鼻根部の最も低い場所)より３㎜程度頭側をプロテーゼの上端としました。これより高い位置にするとアバター変形をきたします。またこれよ低い位置に入れるとプロテーゼの端が目立つリスクがあります。プロテーゼは挿入前に患者様の鼻の形に合うようオーダーメイドの細工を施しています。